前回の記事では、デジタル制作の8割は「アナログな対話」から生まれるというお話をしました。AIには読み取れない、栃木の現場に流れる「行間」。それを大切にすることが、結果として長く使えるシステムやデザインに繋がります。
では、その「行間」を共有したあと、残りの2割である「デジタル(道具)」をどう選んでいけばいいのでしょうか? 今回は、ツールありきで失敗しないための、栃木流・デジタルとの付き合い方について考えます。
1. 高価なツールより、いつものホワイトボード
「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉を聞くと、どうしても「最新のソフトを導入しなきゃ」「AIを使いこなさなきゃ」と身構えてしまいがちです。
しかし、栃木の製造業や建設業の現場で本当に必要なのは、最新の機能よりも**「今の自分たちの動きに馴染むかどうか」**です。
システムを導入する前に、まずはキーボードから手を離し、現場のホワイトボードやメモ帳を見直してみてください。そこに書かれている「略語」や「書き込みのクセ」こそが、業務の核心を突いています。このアナログな財産を無視してデジタルの器(ツール)だけ新しくしても、現場には浸透しません。
2. 「2割のデジタル」が魔法に変わる時
対話(8割)を通じて「何に困っているか」が明確になれば、選ぶべきデジタル(2割)は自ずと決まってきます。
-
「あのアナログな伝達作業、スマホでパシャリと撮るだけで共有できたら楽だよね」
-
「あのBOM(部品表)の計算、ここだけ自動化できればミスが減るよね」
このように、**「現場の痛みをピンポイントで癒やす道具」**としてデジタルを添える。 そうすると、それまで「難しそうなもの」だったITツールが、魔法のように現場を助ける味方に変わります。
3. 栃木のクリエイターと「現場」を歩く
「栃木デジタルワーク」が目指すのは、単にコードを書くことではありません。 私たちは、事業者さんと一緒に現場を歩き、油の匂いを聞き、職人さんの「これ、いつも面倒なんだよね」という一言を拾い上げたいと考えています。
「行間」を読み取れるクリエイターがそばにいれば、選ぶツールが「高級な多機能ソフト」である必要はないかもしれません。むしろ、使い慣れたExcelの延長線や、シンプルなLINEの共有機能の方が、現場を劇的に変えることもあるのです。
まとめ:まずは「お茶」を飲みながら
デジタル化を急ぐ必要はありません。 まずは今の困りごとを、そのままの言葉で話してみる。その「アナログな時間」が、結局は一番の近道になります。
「何から始めればいいかわからない」 そんな時は、パソコンを開く前に、私たちにその「行間」を聞かせてください。